SUPER GTRACE REPORTS
第8戦MOTEGI GT
2023年 11月4日(土) ~ 5日(日)
モビリティリゾートもてぎ
36号車GRスープラが優勝しGT500王座を、7位でチェッカーを受けた52号車GRスープラがGT300王座をそれぞれ獲得した。

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RACE REPORT
栃木県のモビリティリゾートもてぎにて11月4~5日、「MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINAL」が開催され、予想外の降雨が戦況に大きく影響する中、36号車GRスープラが優勝しGT500王座を、7位でチェッカーを受けた52号車GRスープラがGT300王座をそれぞれ獲得した。
シリーズタイトルの最終決戦となった今季最終戦のもてぎ。公式予選が行われる11月4日土曜は、早朝こそ濃霧に包まれFIA-F4の公式予選がスケジュール変更されたものの、その後急速に天候は回復。SUPER GTのセッションについては大きな影響もなく行われ、予定通り午後2時20分にはGT300から公式予選がスタートした。
気温23℃と、例年のもてぎ最終戦からは想像もつかないほどの暖かさとなる中でコースインを迎えたGT300のQ1。各車ウエイトを全て下ろした状態となって迎える最終戦、まずはA組からアタックが行われたが、ここでは1分46秒435を叩き出した88号車ランボルギーニGT3を筆頭に、65号車メルセデスGT3、ポイントリーダーの52号車GRスープラがトップ3に。続くB組予選では、52号車GRスープラを追ってランキング2位につけるも、逆転にはポールポジションが必須という厳しい状況におかれた2号車GR86が登場。注目を集めたセッションとなったが、見事2号車GR86は1分46秒130でトップ通過を果たし、これに18号車NSX GT3、96号車RC F GT3が続いた。
午後2時53分にスタートしたGT500のQ1では、逆転タイトルを狙う#3 Niterra MOTUL Zが1分35秒929でトップタイムを獲得。14号車GRスープラ、#100 STANLEY NSX-GTが2~3番手につけ、ポイントリーダーの36号車GRスープラも無事5番手でQ1を突破した一方、ランキング3位の#16 ARTA MUGEN NSX-GTは9番手で惜しくもQ1敗退に。
続いて午後3時13分に始まったGT300のQ2。ここでのポールポジション獲得が逆転王座の条件となっていた2号車GR86は、早めにアタックを敢行し1分45秒633を叩き出して見事ポールシッターとなるとともに、翌日の決勝にタイトルの望みを繋ぐ一方、88号車ランボルギーニGT3、65号車メルセデスGT3が2~3番手に入り、注目の52号車GRスープラは7番手でアタックを終えることとなった。
そして午後3時31分、最後の予選セッションとして迎えたGT500のQ2では、1分35秒539という圧倒的なタイムを刻んだ#3 Niterra MOTUL Zが、NSX-GT最後の一戦を優勝で飾りたい#17 Astemo NSX-GTを抑え、このレースを最後にGT500を離れるミシュランにポールポジションをもたらした。しかし、その3号車とタイトルを争う36号車GRスープラも3番手と好位置につけることとなり、両クラスともに翌日の決勝に大きな注目が集まることとなった。
63周、300km先の栄冠を目指して迎えた日曜の決勝。チャンピオン争いに関心が集まる中、グリッドではチーム関係者の多くが上空を見上げる様子が見られた。スタート直前、突如黒い雲がサーキット上空を覆い始めたのだ。
不穏な天候の下、栃木県警のパレードラップとフォーメーションラップを終え、午後1時06分に決勝がスタートすると、時折ワイパーを作動させる車両もある中でまずはポールシッターの#3 Niterra MOTUL Zがレースをリード、2番手を争う#17 Astemo NSX-GTと36号車GRスープラを引き離していく。2位でフィニッシュすれば#3 Niterra MOTUL Zが優勝してもタイトルを手にする36号車GRスープラは、#17 Astemo NSX-GTと激しく2番手を争うが、ようやく23周目のV字コーナーで36号車GRスープラが2番手を奪う。
この時点で6秒ほどのマージンを得ていた#3 Niterra MOTUL Zは25周目にピットイン。2~3番手の36号車GRスープラ、#17 Astemo NSX-GTも翌周にピットインするが、#17 Astemo NSX-GTはこの直後に#23 MOTUL AUTECH Zにポジションを奪われてしまう。
レース半ばを過ぎると、#3 Niterra MOTUL Zのリードはさらに拡大し10秒を超えるが、徐々に雨脚が強まり始める。スリッピーなコンディションのレース終盤まで、スリックタイヤのまま一進一退の攻防を続けるトップ2だったが、勝利目前だった#3 Niterra MOTUL Zは59周目のS字でスピンを喫してグラベルにスタック、その脇を駆け抜けた36号車GRスープラが首位に立つこととなり、#3 Niterra MOTUL Zは復帰に手間取りポイント圏外へと大きくポジションを落とす。
これにより、残り周回を慎重にこなした36号車GRスープラが、見事今季3勝目となるトップチェッカーを受け、シリーズチャンピオンを獲得。2位に#23 MOTUL AUTECH Z、3位には終盤レインタイヤに履き替えハイペースで追い上げた#17 Astemo NSX-GTが入った。
一方GT300でもタイトル争いに注目が集まったが、まずは逆転タイトルには優勝しかない2号車GR86が、ポールポジションからレースを引っ張るが、これを88号車ランボルギーニGT3、65号車メルセデスGT3などが追走、序盤は予選順位通りの攻防が続いた。ランキング首位の52号車GRスープラは、自力で1ポイントでも獲得すればチャンピオンとなるだけに、まずは着実に7番手で周回を重ねていった。
しかし、雨によるコンディションの変化が影響したか、徐々に2号車GR86のペースが苦しくなり、88号車ランボルギーニGT3の猛チャージを受けるようになり、16周目の3コーナーでついに88号車ランボルギーニGT3が2号車GR86をかわして首位に立つ。
GT300では20周前後にピットインが相次いだが、52号車GRスープラは無交換作戦を選択。一方トップの88号車ランボルギーニGT3や65号車メルセデスGT3はリヤのみ2本交換するなど、各チームでの戦略が分かれる。
レース中盤も88号車ランボルギーニGT3は首位を堅守し、65号車メルセデスGT3、2号車GR86の接近を阻んでいたが、雨量の変化によって65号車メルセデスGT3が88号車ランボルギーニGT3に肉薄するシーンも見られたものの、88号車ランボルギーニGT3は逆転を許さない。
終盤、雨脚が強まる中で、勝つしか無い2号車GR86はレインタイヤに履き替えて一発逆転を狙ったが、雨は極端には強くはならず、ドライタイヤのまま踏ん張る車両も多く、2号車GR86も狙ったほどのゲインは得られず。一方の52号車GRスープラは、追い上げてきた6号車アウディR8 LMSや56号車GT-Rとの接近戦を経ながらもポイント圏内に踏みとどまる戦いを続けた。
このため、最後まで逃げ切った88号車ランボルギーニGT3が最終戦を制し初優勝。2位に65号車メルセデスGT3、今季3度目となる3位に6号車アウディR8 LMSが入ることに。ギャンブルに敗れた2号車GR86は9位に終わり、最終的に7位でチェッカーを受けた52号車GRスープラが見事初のタイトルを獲得することとなった。
これで2023シリーズは全8戦を終了。来季はホンダ陣営がニューマシンであるCIVIC Type-R GTをデビューさせる他、GT300は今季の実績を元に開発された合成燃料50%の新たなCNFでの戦いとなるなど、また見どころ満載のシーズンが期待される。2024シーズンは4月13~14日に岡山国際サーキットで開幕大会を迎える予定だ。
RACE RESULT
Po. | Driver/Team/Machine | Time | Support |
---|---|---|---|
1 |
#36 坪井翔 / 宮田莉朋 TGR TEAM au TOM’S / au TOM’S GR Supra |
1h52’47.402 | |
2 |
#23 松田次生 / R.クインタレッリ NISMO / MOTUL AUTECH Z |
+5.159 | |
3 |
#17 塚越広大 / 松下信治 Astemo REAL RACING / Astemo NSX-GT |
+16.270 | |
4 |
#1 平峰一貴 / B.バゲット TEAM IMPUL / MARELLI IMPUL Z |
+30.349 | |
5 |
#8 野尻智紀 / 大湯都史樹 ARTA / ARTA MUGEN NSX-GT |
+32.045 | |
6 |
#14 大嶋和也 / 山下健太 TGR TEAM ENEOS ROOKIE / ENEOS X PRIME GR Supra |
+46.456 | |
7 |
#39 関口雄飛 / 中山雄一 TGR TEAM SARD / DENSO KOBELCO SARD GR Supra |
+51.864 | |
8 |
#19 国本雄資 / 阪口晴南 TGR TEAM WedsSport BANDOH / WedsSport ADVAN GR Supra |
+58.819 | |
9 |
#37 笹原右京 / G.アレジ TGR TEAM Deloitte TOM’S / Deloitte TOM’S GR Supra |
+1’02.089 | |
10 |
#100 牧野任祐 / 木村偉織 TEAM KUNIMITSU / STANLEY NSX-GT |
+1’05.534 | |
11 |
#38 立川祐路 / 石浦宏明 TGR TEAM ZENT CERUMO / ZENT CERUMO GR Supra |
+1’07.734 | |
12 |
#16 福住仁嶺 / 大津弘樹 ARTA / ARTA MUGEN NSX-GT |
+1’11.295 | |
13 |
#3 千代勝正 / 高星明誠 NDDP RACING / Niterra MOTUL Z |
+1’32.001 | |
14 |
#24 佐々木大樹 / 平手晃平 KONDO RACING / リアライズコーポレーション ADVAN Z |
+1Lap | |
#64 伊沢拓也 / 太田格之進 Modulo Nakajima Racing / Modulo NSX-GT |
+21Laps |
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第8戦